人間文化講座「ゆうかり塾」
2009年度 第5回

『貧困大国 ・ 中国の行方』

講師:阿古 智子先生高42期 早稲田大学国際教養学部准教授 中国現代社会研究)


めざましい経済発展をとげつつある中国の抱えるさまざまの歪を「戸籍制度」と「農工民」の問題に焦点をあててお話された。
市場経済の発展によって、農村社会の荒廃、格差が増大し、失地農民が都市に流入し、いわゆる「農工民」となり、いまやその数2億人に達する。
(「農工民」とは農民戸籍のままで都市戸籍を持てず、市民権を保障されない労働者である。)
彼等は弱肉強食という競争原理のもと、劣悪で、不安定な生活を送り、めぐまれた市民との格差がますます拡大していく。そしてさまざまな都市問題を生み出している。
そのような公平なルールを保障しない「農村戸籍制度」の改革は、中国政府にとっても必須の課題であるが、その改革は容易には進まない。
この、貧困大国の中国の行方について、文化の面でも、経済の面でも切ってもも切れない関係にある日本としても、中国の人々と共に考えていかねばならない課題である。


第6回レポートへ